こんにちは。江東区東砂の惠仁クリニック院長の渋田です。
最近は「オンライン診療という言葉は聞いたことがあるけれど、実際にはどういうときに使えるのですか?」というご質問をいただくことが増えてきました。
たしかにオンライン診療は、自宅などから医師に相談できる便利な方法です。
一方で、便利だからといって、どんな症状でもオンラインで十分というわけではありません。
実際には、オンライン診療にはきちんとしたルールがあり、そのルールは「患者さんを不便にするため」ではなく、安全に診療を受けていただくために設けられています。オンラインで見られることには限界があるからこそ、対面診療とうまく使い分けることが大切なのです。
この記事では、オンライン診療の基本的なルールを整理しながら、
「どんなときにオンライン診療が向いているのか」
「どんな症状なら直接受診したほうがよいのか」
をお伝えします。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどの情報通信機器を使って、医師の診察を受ける方法です。通院しなくても受診できるため、忙しい方、体調がすぐれず外出が負担になる方、継続的に通院している方にとっては、とても便利な選択肢です。
ただし、ここで大切なのは、オンライン診療は対面診療の完全な代わりではないということです。
画面越しでは、患者さんの表情や話し方、見た目の様子はある程度わかっても、
- お腹を触って痛みの場所を確かめる
- 胸の音や呼吸の音を聴く
- のどや耳の奥を直接みる
- その場で血液検査や画像検査をする
といったことはできません。
つまり、オンライン診療は「何でもできる診療」ではなく、オンラインでも安全に判断できる範囲で行う診療です。
オンライン診療のルールとは?まず押さえたい基本
オンライン診療のルールと聞くと、難しい制度の話のように感じるかもしれません。
ですが、皆さんにとって大切なのは、細かな制度用語を覚えることではなく、どういう考え方で運用されているかを知ることです。
基本になる考え方は、次の3つです。
1. オンライン診療は、対面診療に置き換わるものではなく、組み合わせて使うもの
オンライン診療の中心にある考え方は、必要に応じて対面診療と組み合わせることです。
オンラインだけで完結させることを前提にするのではなく、診察の中で「これは直接診たほうが安全だ」と判断されれば、対面へ切り替えることが前提になっています。
これは、とても大切なルールです。
なぜなら、オンラインで判断が難しい症状を無理にそのまま済ませてしまうと、見逃しにつながる可能性があるからです。
2. オンライン診療を受けられるかどうかは、医師が判断する
「今日は忙しくて病院に行けないから、オンラインでお願いしたい」と思う時があると思います。もちろんそのお気持ちはとてもよくわかります。
ただ、オンライン診療は、患者さんの希望だけで決まるものではありません。
その症状がオンラインで安全に診られるかどうかは、医師が判断することが前提になります。
言い換えると、「オンラインで受けたい」と思って予約しても、診察の結果や事前の問診内容によっては、「今日は直接診察したほうがよいですね」とご案内することがあります。
これはお断りではなく、患者さんにとってより安全な診療につなげるための判断です。
3. 本人確認や同意、緊急時の案内もルールの一部
オンライン診療では、診察そのものだけでなく、
- 本人確認
- 保険証等の確認
- オンラインで受けることへの同意
- 通信トラブル時の対応
- 緊急時にどこへ受診するか
といった点も大切です。
「少し手続きが多い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これも安全に診療を進めるためには欠かせません。
オンラインは手軽である一方、対面のようにその場でスタッフがすべて補ってくれるわけではないため、事前準備がとても重要になるのです。
オンライン診療のルールから見た「向いているケース」
オンライン診療のルールを患者さん向けに言い換えると、
“医師が画面越しでもある程度安全に判断しやすいケース” が向いているということになります。
たとえば、次のようなケースです。
症状が比較的軽く、経過がわかりやすい
のどの違和感、軽い鼻水、軽い咳など、症状が比較的軽く、急激に悪化していない場合は、まずオンラインで相談しやすいことがあります。
もちろん、同じ「風邪っぽい症状」でも、高熱が続いていたり、呼吸が苦しかったりする場合は別です。
あくまで、症状の程度や経過が大切になります。
毎年くり返す花粉症や、ある程度パターンのわかる症状
毎年同じ時期に花粉症が悪化する方や、これまでの経過からある程度症状の傾向がわかっている方は、オンライン診療が活用しやすい場面があります。
慢性疾患の定期フォロー
高血圧や脂質異常症など、症状や状態が安定している慢性疾患の定期的なフォローも、オンライン診療と相性が良いことがあります。
ただし、血液検査や画像検査などを行う場合や、経過が安定していても定期的に対面診療が必要になることがあります。
継続しているお薬の相談
これまでの診療経過が共有されていて、薬の効果や副作用の確認、継続処方の相談が中心であれば、オンラインでも対応しやすいことがあります。
特にかかりつけ医との関係があると、医師側も判断材料を持っているため、オンライン診療の安全性が高まりやすくなります。
反対に、オンライン診療のルール上、対面受診が大切になるケース
オンライン診療のルールを理解するうえで、実はもっと大切なのがこちらです。
「オンラインでは不十分になりやすい症状」を知っておくことです。
強い腹痛
腹痛は、胃腸炎のような比較的よくある病気から、緊急性の高い病気まで幅広く考える必要があります。
お腹を押したときの痛み方や、お腹の張り具合など、直接診察しないとわからないことが少なくありません。
胸の痛み、息苦しさ
胸痛や呼吸苦は、画面越しだけで判断するには危険が伴います。
症状の重さにかかわらず、直接受診や救急受診が必要になることがあります。
高熱が続く、ぐったりしている、水分が取れない
こうした場合は、脱水の有無や全身状態の評価が必要になります。
必要に応じて採血や点滴などを考えることもあるため、対面診療が望ましいです。
検査や処置が必要かもしれない症状
神経症状、強い頭痛、外傷、出血などは、診察だけでなく検査や処置が必要になることがあります。
このような症状では、オンラインで済まそうとせず、対面診療を受けることが大切です。
初診のオンライン診療はどう考えればよい?
「初めて受診するけれど、オンラインでも大丈夫ですか?」というご質問もよくあります。
初診でもオンライン診療が行われる場合はありますが、一般的には、再診より慎重に判断されると考えたほうがよいでしょう。
なぜなら、初診では患者さんの情報がまだ少なく、体質やこれまでの経過、過去の検査結果などが十分にわからないからです。
ですから、
- 症状の原因が幅広く考えられる
- 直接診察しないと判断しにくい
- 急変の可能性がある
といった場合は、初診では対面での受診をおすすめすることが多くなります。
逆に、症状の内容が比較的整理しやすく、オンラインでも一定の判断がしやすい場合には、初診オンラインが選択肢になることもあります。
大切なのは、「初診だから絶対にだめ」「初診でも何でもオンラインでよい」と極端に考えず、症状に応じて判断することです。
オンライン診療では処方にルールや制限がある
患者さんが気にされやすい点のひとつが、お薬のことです。
オンライン診療では、状態の確認が対面ほど十分にできないことがあるため、薬の種類によっては処方に制限がかかる場合があります。
特に、依存や乱用のリスクが高い薬、慎重な経過観察が必要な薬などは、医師が対面診療を優先することがあります。初診ではその傾向がより強くなります。
そのため、オンライン診療は「希望した薬をそのまま出してもらう場」ではなく、あくまで医師が安全性を見ながら、必要な薬を判断する場と考えていただくのがよいと思います。
オンライン診療を受ける前に準備しておきたいこと
オンライン診療のルールを活かして、できるだけスムーズに受診するためには、患者さん側の準備も大切です。
症状の経過を整理しておく
たとえば、次のような点をメモしておくと、診察がスムーズです。
- いつから症状があるか
- どんなきっかけで始まったか
- どのように変化しているか
- 熱はあるか
- 市販薬を飲んだか
- 今飲んでいる薬はあるか
オンライン診療では、患者さんから伝えていただく情報の質が、とても重要になります。
通信環境を確認しておく
映像や音声が途切れると、症状の確認が不十分になり、結果として対面診療をおすすめせざるを得ないことがあります。
安定した通信環境、端末の充電、アプリの動作確認は、意外と大切です。
静かで話しやすい場所を選ぶ
周囲に人がいると、話しにくい症状や相談もあると思います。
できれば静かな場所で、安心して話せる環境を整えていただくと、診療の質も上がります。
院長としてお伝えしたいこと|迷ったら「無理にオンラインにこだわらない」
オンライン診療は、とても便利です。
通院の負担を減らせますし、ちょっとした不調を相談するきっかけにもなります。
ただ、院長としてお伝えしたいのは、便利さよりも安全性を優先していただきたいということです。
もし、
- この症状でオンラインでよいのか不安
- だんだん悪くなっている気がする
- 何となくいつもと違う
- 画面越しではうまく伝えられない気がする
そう感じるときは、無理にオンラインで済ませようとせず、対面診療を選ぶことをおすすめします。
オンライン診療のルールは、「オンラインでできることを増やすため」だけのものではありません。
必要なときには迷わず対面へつなげるためのルールでもあります。
まとめ
オンライン診療は、軽い不調の相談、慢性疾患の定期フォロー、継続的なお薬の相談などで役立つ便利な診療方法です。
一方で、強い腹痛、胸痛、息苦しさ、高熱が続く、ぐったりしているといった症状では、対面診療や救急対応が大切になります。
オンライン診療のルールをわかりやすく言えば、
- オンラインは対面の代わりではなく、組み合わせて使う
- 受けられるかどうかは医師が安全性を見て判断する
- 必要なときは対面へ切り替える
- 処方の制限がある
- 事前準備が診療の質を左右する
ということです。オンライン診療は、ルールを知って上手に使えば、とても心強い選択肢になります。
「この症状で相談してよいのかな」と迷ったときは、どうぞ一人で抱え込まず、ご相談ください。
必要に応じて、オンラインがよいのか、直接診たほうがよいのかを一緒に考えていきましょう。
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