こんにちは。惠仁クリニック院長の渋田です。
毎年夏になると、熱中症で救急搬送される方が全国的に増加します。特に気温や湿度が高い日が続くと、私たちの体は体温をうまく調節できず、体調を崩してしまうことがあります。
今回は、熱中症の基礎知識と予防法、そして医療機関に相談すべきタイミングについてお話しします。
熱中症とは?
熱中症とは、暑い環境に長くいることで体温の調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまう状態です。症状は軽いものから重篤なものまで様々ですが、重症になると命に関わることもあります。
主な症状と重症度の目安
【軽度】めまい、立ちくらみ、大量の汗、足がつる
【中等度】頭痛、吐き気、だるさ、集中力の低下、判断力の低下
【重度】呼びかけに反応しない、けいれん、体が熱いのに汗をかいていない
特に高齢者、小さなお子さん、持病のある方は注意が必要です。また、自分では気づきにくいこともあり、周囲のサポートも大切です。
日常生活でできる熱中症対策
1. 暑さを避ける
外出はできるだけ朝や夕方の涼しい時間帯にして、日差しの強いときは、帽子・日傘・長袖で直射日光を避けましょう。
屋内でも室温28℃、湿度60%以下を目安に冷房・除湿を使用しましょう。
2. こまめな水分補給
喉が渇く前に少しずつ飲むことが大切です。汗をかいたら塩分も一緒に補いましょう。(スポーツドリンクや経口補水液など)
高齢者は脱水に気づきにくいため、周囲の声かけが重要です。
3. 服装や環境を工夫する
通気性の良い、明るい色の衣服を選びましょう。
扇風機やサーキュレーターなどを活用して、室内の風通しを良くしましょう。
冷却グッズ(冷却シート、首に巻く保冷タオルなど)も効果的です。
4. 暑熱順化(しょねつじゅんか)を意識する
徐々に体を暑さに慣らすことが、熱中症の予防につながります。軽い運動や入浴などで、毎日少しずつ汗をかく習慣をつけましょう。
医療機関を受診すべきタイミング
以下のような症状がある場合は、病院の受診、または救急車での対応が必要です。
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応がない
- 水分が摂れない、吐き気が強くて飲めない
- 高熱があるのに汗が出ていない
- 応急処置をしても症状が改善しない
これらは重症のサインであり、速やかな対応が命を守ることにつながります。
一方、軽度の熱中症であれば、クリニックでも初期対応や点滴処置が可能です。体調に不安がある場合は、無理をせず早めの相談をおすすめします。
惠仁クリニックでの対応
当院では、軽症〜中等症の熱中症に対し、以下のような対応が可能です。
- 点滴による水分・電解質補給
- 解熱・鎮痛薬の使用(必要に応じて)
- 生活環境や予防方法についてのアドバイス
重症が疑われる場合は、連携病院への迅速な紹介も行っております。夏場に不調を感じたら、我慢せずにご相談ください。
最後に
熱中症は、適切な予防と早めの対応で防げる病気です。特に近年は気温の上昇が顕著で、以前よりも早い時期からの対策が求められています。
「ちょっとした不調」が重症につながらないよう、ぜひご家族や身近な方とも熱中症対策について話し合ってみてください。
皆さまが安心して夏を過ごせるよう、惠仁クリニックではこれからも地域に根ざした医療を提供してまいります。