今回は、健診で「血圧が高いですね」と言われた方や、日頃から血圧に不安を抱えている方に向けて、「高血圧とはどのような病気か」「なぜ放置してはいけないのか」「日常生活でできることや治療」について、詳しくお話ししたいと思います。

高血圧は“沈黙の病”

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。その理由は、ほとんどの方が自覚症状なく進行し、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気を引き起こすためです。
厚生労働省によると、日本では40歳以上の2人に1人が高血圧といわれており、そのうちの多くが無症状のまま過ごしています。

血圧の基準と危険ライン

血圧は、心臓が血液を送り出すときの圧力(収縮期血圧:上)と、血液が全身を回った後、心臓に戻ってくるときの圧力(拡張期血圧:下)に分かれます。

日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2024」では

正常血圧:120/80mmHg未満
高値血圧:120〜129/80mmHg未満
高血圧:130/80mmHg以上

と定義されています。
特に130/80mmHg以上が続く方は、年齢によりますが生活習慣の見直しが必要になります。

高血圧による体への影響

高血圧は、血管に常に強い圧力がかかる状態です。その結果、以下のような重大な疾患を引き起こします。

  • 脳卒中(脳出血・脳梗塞)
  • 心筋梗塞・狭心症
  • 心不全
  • 腎不全(人工透析が必要になることも)
  • 大動脈瘤・動脈硬化

症状がなくても、血管や内臓には確実にダメージが蓄積されていきます。

日常生活でできる対策

1. 減塩を意識する

塩分の摂りすぎは血圧を上げる大きな要因です。日本人の平均摂取量は1日10g前後ですが、理想は男性7.5g、女性6.5g未満です。味噌汁は1日1杯、漬物・加工食品は控えめにしましょう。

2. 適度な運動を取り入れる

ウォーキングや軽い筋トレなど、無理のない範囲で毎日継続することが大切です。血圧の安定、体重管理、ストレス解消にも効果があります。

3. 質のよい睡眠と禁煙・節酒

睡眠不足や喫煙は血圧を不安定にし、飲酒は量によっては血圧を上げます。特に就寝前の深酒は避けましょう。

医療機関での検査と治療

当院では、以下のような診察・検査・治療を行っています。

  • 問診と血圧測定(必要に応じて複数回の血圧測定を行います)
  • 血液検査(腎機能・コレステロール・血糖など)
  • 尿検査・心電図検査・胸部X線検査
  • 生活指導と降圧薬の処方(必要な場合)

薬物治療が必要な場合も、皆様の体質や生活に合わせたお薬を選び、必要最小限でコントロールしていくことを重視しています。

高血圧との付き合い方

高血圧は“完治”を目指すというよりも、“しっかり管理して合併症を防ぐ”ことが治療の目的です。毎日の血圧測定、生活習慣の見直し、そしてかかりつけ医との定期的な相談が何よりの予防になります。

惠仁クリニックでは、血圧が高めの方、健診で異常を指摘された方、薬を飲み始めるべきか迷っている方へのアドバイスを行っています。お気軽にご相談ください。