毎年春になると、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった花粉症の症状で悩まされる方が増えてきます。特にスギやヒノキの花粉は、日本国内において非常に多くのアレルギー性鼻炎患者の原因となっています。厚生労働省の調査によると、国民の約3割が花粉症に罹患しているともいわれており、その数は年々増加傾向にあります。
今回は、春の花粉症に悩む方々に向けて、「どんな症状が出たら花粉症を疑うべきか」「日常生活の中でできる花粉症対策」「医療機関での治療のメリット」などについて、内科医の視点からわかりやすくご紹介します。
花粉症かも?と思ったらチェックしたい主な症状
春先になると風邪に似た症状が出て、「風邪かな?」と思っているうちに数週間続いているという方も少なくありません。以下のような症状が2週間以上続くようであれば、花粉症の可能性が高いといえます。
- 透明で水っぽい鼻水が止まらない
- くしゃみが何度も連続して出る
- 鼻づまりが強く、口呼吸になる
- 目がかゆく、涙が出る、充血する
- のどのかゆみや軽い咳が出る
- 朝起きたときに症状が特にひどい
これらの症状が重なって出ている方は、なるべく早く医療機関を受診し、診断を受けることをおすすめします。特にお子さんの場合、集中力や睡眠の質に影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
日常生活でできる花粉症対策
花粉症のつらさを軽減するためには、花粉を「体に入れない」「家に持ち込まない」「症状が出る前に備える」という3つの視点が大切です。
1. 花粉を体に入れないために:
- 外出時はマスク(不織布が有効)と花粉用メガネを使用
- 花粉が付きにくい素材の服を着る(ウール素材は避ける)
- 帽子をかぶって頭髪への付着を防ぐ
2. 家の中に持ち込まないために:
- 帰宅時は玄関前で衣服をはたく
- 洗顔・うがいで顔や喉に付いた花粉を洗い流す
- 空気清浄機を活用し、定期的にフィルター掃除をする
- 室内の換気は短時間で、花粉の少ない時間帯に行う
3. 症状が出る前から薬で備える:
花粉が飛び始める2週間ほど前から抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)を内服することで、症状の悪化を抑えることができるとされています。これを「初期療法」と呼び、特に症状の強い方には有効とされています。
病院でできる花粉症治療のメリット
市販薬で対処している方も多いと思いますが、医療機関では、より症状や生活に合った治療法を選ぶことが可能です。
1. 適切な薬の選択:
眠気の少ない抗ヒスタミン薬、点眼薬、点鼻薬などを組み合わせて使用します。市販薬で効果が不十分な方にも対応できます。
2. 原因アレルゲンの特定検査:
血液検査などで、スギ・ヒノキ以外のアレルゲン(ハウスダスト、ダニ、イネ科花粉など)が関与していないかを確認することができます。
花粉症は日常生活に支障をきたすことも多いため、早めの対策と医療機関での受診が大切です。つらい症状を少しでも軽減するために、今回ご紹介した対策をぜひお役立てください。また、必要に応じてより専門的な検査や治療も受けられますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。